ジンジャエールを飲みながら

大都会の片隅で働くしがないウェブ屋が、ウェブと全然関係のない読書とかアニメとかの感想を書き連ねるメモブログです。

読書:永山篤一『レ・ミゼラブル』

金曜ロードショーで某映画の放送があったらしく、「恋人は国」っていうフレーズがタイムラインに飛び交っていたので、アンジョルラスじゃん…という気持ちになって、ひとさまにレミゼをゴリ押ししたりなんだりしているうちに、自分が読みたくなったので、3章~バリケード陥落のあたりを読んでいた。

 

レ・ミゼラブル (上) (角川文庫)
 
レ・ミゼラブル (下) (角川文庫)

レ・ミゼラブル (下) (角川文庫)

 

 

佐藤訳(新潮)と辻訳(潮出版)と豊島訳(青空文庫)は読んでいて、ほかのもちらほらと目を通しているのだけれど、実は永山訳を読むのは初めてだったり。布教用に買ったも同然で、何度も人に貸しているのだけれど、自分で読むのは初めてだったのだ。。。

 

お気に入りシーンの有無をメモっておく。

 

【有】

・ブロンドー先生に名前を消されるボシュエ

・マリウスくんの家計簿

・マリウスくんのラブレター

・カビュク処刑(「ひざまずけ」以降はほぼそのまま。コンブフェールとプルーヴェールが手を繋いで見守るシーンも。)

・アンジョ「マットレスを」コンブ「無理だ、怪我人を寝かせている」のやりとり

・砲兵長を撃つシーン、「彼は君の兄弟だ」からのアンジョの涙

・コンブフェールの最期(負傷兵を助けようと〜空を仰いで息絶えた)

・グランテール「許してくれるかい?」

 

【無】

・アンジョルラスの描写「少女のように瑞々しい」「22歳なのに17歳くらいに見えた」「寄宿舎から抜け出してきたみたい」「女を知らない」などの描写。
浮気な女工を詰めたくあしらうシーンもない。
恋人は祖国(パトリア)もない。

・ボシュエの屋根が落ちて住むところがなくなった設定
(ジョリとルームシェアしている設定は出てくる。ミュジシエッタは出てこない)

・ハンカチを拾って「愛しのユルシュール!」ってなるマリウスくん

・大砲を見て「最新技術だ!」ってわくわくするコンブさん

・コンブさんの「家族あるものは去りなさい」
 →発言者の明記はないけれど、文脈的にアンジョが言ったようにしか読めない。

・国民兵「花を撃つようだ」

 

「家族あるものは去りなさい」がアンジョのセリフになってしまうのはいつものこと。とはいえ、あのセリフは間違いなくコンブフェールの見せ場のひとつなんだけど…まぁコンブの思想はアンジョに影響を与えているから…。。

 

あとボシュエの屋根の話とか、コンブフェールが大砲でわくわくするやつはともかくとして、「花を撃つようだ」はいれてくれてもよかったのに…と思わなくはない。
全体的にアンジョの描写が控えめだと思う。

 

ともあれ、魅力的なシーン・設定の大半は入っているので、布教用に初心者に貸して回るにはよい抄訳だと思う。聞いていた評判は正しかった。

 

ただ個別にアンジョを推したいときは新井隆弘のコミックスがいいかもしれない。

「22歳なのに寄宿舎から抜け出してきた美少年にしか見えない」 っていう設定を忠実に絵にして、時に冷酷さも見え隠れする革命の大天使…って感じのアンジョルラス(アンジョーラ)が完璧に描かれていると思う。

 

コンブフェールを推したいときはアニレミを勧めるのもいいかもしれない。っていうか私がアニレミコンブフェールを推したい。

アニレミはコゼットが主役で、翻案されている部分も多く、全体的に優しいしなやかな強さのある作品なのだけど、コンブフェール(CV羽多野渉)が最高にいい。かつてこんなにもコンブさんが優遇された作品がほかにあるか。やっぱりABCの友の中で「優しい強さ」を一番持っているのはコンブさんなのだと思う。

アンジョルラス(CV岸祐二)も、優しい強さのある人として描かれている。原作に見え隠れする冷酷さ、苛烈さは出てこない。このキャラ造形には、声優の岸さんもかかわっているらしい(岸さんは過去に帝劇でアンジョルラス役をやっていた人)(なおいまはジャベール役で出演している)。

レ・ミゼラブル 少女コゼット 11 [DVD]

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おまけ。考察アンソロをやって、解像度があがった気がする話。